悪魔の手毬唄のあらすじ「哀しい愛憎劇」

      2017/05/13   文学

千代紙と手鞠
横溝正史の長編小説である悪魔の手毬唄は、金田一耕助シリーズの一つであり、何度も映画やドラマになって後世のクリエイターたちに影響を与えています。

そんな人気作品である「悪魔の手毬唄」とは、一体どんなストーリーなのでしょう。簡単なあらすじをご紹介します。

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横溝正史「悪魔の手毬唄」あらすじ

物語は、劇中に出てくる手毬唄の歌詞に沿って事件が発生していきます。

鬼首村での事件

岡山と兵庫の県境にある鬼首村(おにこうべむら)では、由良家(ゆらけ)と仁礼家(にれけ)という、2つの名家が対立していました。友人である磯川常次郎警部の依頼で、金田一耕助はその村を訪れます。

村には亀の湯という温泉宿があり、そこでは女主人の青池リカの夫である源次郎が、23年前に悲惨な事件によって命を落としていました。そしてその犯人である恩田幾三は、今も行方不明なのだと言います。

亀の湯の長男・歌名雄(かなお)と、由良家の娘・泰子は将来を誓い合う仲でしたが、仁礼家の娘・文子もまた歌名雄に想いを寄せていました。そのため、家柄まで巻き込んだ三角関係が巻き起こっていたのです。

老婆と娘たちの謎

23年前の事件の聞きこみを始めた金田一は、峠でおりんと名乗るひとりの老婆とすれ違います。おりんは、金田一が宿で親しくなった多々羅放庵の5人目の妻の名前でした。

しかし聞きこみを続ける途中で、おりんが既に亡くなっていることを知ります。

そんな中、村出身の人気歌手である別所千恵子が帰郷するということで、村中が盛り上がっていました。しかし千恵子は実は恩田の娘であり、子供の頃は犯人の娘としていじめられていたのです。

千恵子の帰郷を祝う席にはリカの娘・里子も向かいましたが、その途中で見知らぬ老婆と泰子が並んで歩くのを見かけます。

その翌日、泰子は口に漏斗を差し込まれて滝壺で亡くなっていました。そして泰子の通夜の翌日には、今度はぶどう酒工場の中で文子が無残な姿で発見されました。

驚愕の事実の判明

金田一はこの事件が、村に伝わる手毬唄になぞらえたものであると推理し、その唄は3番まで存在することから第3の事件を予測します。

捜査を進める中で、泰子と文子は、千恵子と同じく恩田の娘であったという驚くべき事実が明らかになります。さらに恩田と源次郎が同一人物であることも分かりました。

金田一は第3の標的は千恵子であると考えましたが、その予想は外れることとなります。次の被害者は里子でした。

事件の真相

娘が亡くなり悲しむリカでしたが、そこへやって来た千恵子に、これまでの一連の事件は自分が犯人であると白状しました。実は第3の事件は千恵子を狙ったものでしたが、身代わりとなった里子が亡くなることとなったのです。

23年前、リカは恩田と源次郎が同一人物であると知り激怒して夫を手に掛けますが、それを放庵に目撃されてしまったのです。それ以来放庵に脅されてきたリカは、おりんに扮して放庵をもその毒牙に掛けるのです。

また、顔にあざを持つ娘の里子に対して、恩田の娘は皆美しい事に嫉妬し、彼女たちを始末したのだと言います。

そしてリカは警察の目を盗んで逃走し、自ら沼に身を沈めて命を絶ったのでした。

感想

この物語は、手毬唄になぞられて事件が行われていきます。そのインパクトは映画やドラマになっても印象深く、見るものを惹きつけました。

ただただ里子が可哀想でしたね。まぁ歌名雄の状況もかなり悲惨ですが。誰も救われないストーリーですが、何度も映像化されるということは、それだけ魅力がある作品と言えますね。

手毬唄の見立て

まず最初の事件では、滝壺の途中に置かれた枡が水で満たされると、泰子の口に差し込まれた漏斗に注がれるという状態になっており、次の文子は、竿秤を帯に差し込まれ秤の皿には大判小判が置かれていました。

手毬唄の一番目は「升屋の娘~升で量って漏斗で飲んで~」、二番目は「秤屋の娘~大判小判を秤に掛けて~」となっています。

そしてこの村にはだいたい屋号があるみたいで、仁礼家は「秤屋」、由良家は「枡屋」、そのため手毬唄になぞられていると金田一は思ったのですね。

そして三番目の唄は「錠前屋の娘~小町娘の錠前が狂うた~」となっているので、「錠前屋」を屋号に持つ別所家の千恵子が三番目に狙われると推理しましたが、実際は里子でした。

哀しい愛憎劇

自分の母親の凶行に気付いた里子は、自ら身代わりとなったのです。

夫が色々なところで子供を作り、でも他の娘たちは器量も良くてお金持ち、しかし自分の娘は顔に目立つあざを持つ不憫な子。そんな状況で段々と憎しみが蓄積してしまったのだと思います。

それでも夫を愛し続けた事も、憎しみを打ち払えなかった理由のひとつでしょう。「いっそ憎めたら」と、そんなセリフを劇中でリカも語っています。

哀しい物語ですが、とても惹きつけられる作品になっています。機会があったら読んでみて下さい。

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