高野聖のあらすじ「妖しい美女の正体とは?」

      2017/05/14   文学

着物をはだけた女性
泉鏡花の「高野聖(こうやひじり)」は、明治33年に発表された短編小説です。怪奇譚の名作とされているこの小説で、泉鏡花は人気作家となりました。

それでは幻想的な「高野聖」のあらすじを簡単にご紹介します。

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泉鏡花「高野聖」あらすじ

僧が不思議な体験談を語る物語となっています。

旅僧の不思議な体験

若狭へ帰郷する青年は、その列車の車中で一人の旅の僧に出会います。敦賀に一泊するという旅僧に同行することになり、青年は宿で僧の若いころの行脚での不思議な体験談を聞きました。

かつて僧が信州の松本に向かう際、富山の薬売りの男が先を追い越して行きました。そして男が危険な旧道へと進んでいったため、僧は彼を連れ戻そうとして後を追うのでした。

しかし追いかけた男は見つからず、気味の悪い蛇や蛭のいる道に難儀します。なんとか切り抜けると一件の家にたどり着き、そこには美女と奇妙な男と一頭の馬がいました。

怪しげな山家の男女

僧の体は傷つき汚れていたため、親切な美女は彼の体を洗ったりと世話を焼いてくれます。僧はとても良い気分でしたが、その美女もいつの間にか服を脱いでいました。

しかし帰り道ではこうもりや猿が彼女にまとわりつくのでした。二人が家に戻ると、馬引きの男が留守番をしていて僧を不思議そうに見ています。

夜になり、美女と男とともに夕食をとることになりましたが、怪しげな雰囲気と獣の気配が絶えず、僧は経を唱えながら床につきました。

心を惹かれた美女の正体

翌朝、僧はその家を出発し里に向かいましたが、美女のことが忘れられず僧侶の身を捨て彼女のもとへ戻ることを考えます。

そのとき、昨日の馬引きの男に再び出くわします。彼は昨日の馬を売り、美女のために食料を手に入れてきた帰りでした。

しかし、僧の心を見ぬいた男はあの美女の秘密を話し始めます。

実は彼女は人間ではなく、肉体関係をもった旅人たちを動物に変えてしまう魔性のものだというのでした。

我に返った僧

馬引きの男によると、美女は昔、村医者の娘で、病を治す不思議な力を持っていたのだそうです。

しかし、洪水により村人の大半が亡くなってしまい、生き残ったもの同士で山中に暮らすうちに、人間でないものに変化してしまいました。

僧が昨日目にした動物たちは皆ここを通りかかった旅人だというのです。それを聞いた僧は、目が覚めた思いがします。

そして雨の中、踵を返して里へと駆け下りて行くのでした。

感想

物語は怪しくて色っぽい美女に魅せられたお坊さんが、彼女の正体を知って逃げ出すという内容になっています。怪奇小説をよく読む方だと、この高野聖は好きなのではないでしょうか。

不思議小説の面白さ

この小説は幻想的な雰囲気に官能的な要素もあると思います。とくに真面目な僧が虜になってしまうほどの美女を表現する文体は艶かしいというか、生々しいというか、なんとも言えない妖しさにドキドキしました。

いつの間にか全裸になってた美女は、お坊さんにも「早く脱いでしまいなさいな」というような事を言うシーンがあるのですが、この先どうなってしまうのだろうと手に汗握りますね。

怪奇というほど怖くはありませんが、妖しいムードにはとても引き込まれる作品ではないでしょうか。

泉鏡花は幻想文学の先駆けとして知られています。文体が難しいですが、じっくり読むと意味は分かりますので、機会があれば読んでみてはいかがでしょうか。

参考泉鏡花「高野聖」青空文庫

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