伊豆の踊子のあらすじ「無邪気な踊り子の笑顔」

      2017/05/13   文学

初景滝の伊豆の踊子像
川端康成の「伊豆の踊子」は何度も映像化されているので、小説を読んだことがないけれど内容を知っているという方はたくさんいると思います。

美空ひばりさんや吉永小百合さん、山口百恵さんという名だたる女優さんが踊り子を演じています。そんな風に何度も映像化されるほどの名作とはいったいどんな内容だったのでしょう。簡単なあらすじをご紹介します。

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川端康成「伊豆の踊子」あらすじ

物語は、自分の存在価値に悩む青年が旅をするところから始まります。

青年の伊豆への一人旅

二十歳の青年である主人公は、自分の性格が孤児根性で歪んでいることに嫌になっていました。その憂鬱から抜け出すために、一人で伊豆への旅に出かけます。

旅の途中で彼は旅芸人に出会い、一人の踊り子に心を惹かれます。一座を率いるのは踊り子の兄で、家族で旅芸人をしているとのことです。

彼らと仲良くなった青年は、一緒に下田まで旅をすることになりました。

踊り子たちとの触れ合いの中で

天城峠の茶屋で、青年はおばあさんから旅芸人を軽蔑するような発言を聞くのです。青年は腹が立ちましたが、同時に踊り子が心配でたまらなくなります。

しかし翌朝、湯から出て裸のまま無邪気に手を振る彼女の姿は純真な子供のままなのだと、とても安堵します。

旅を続ける中で、踊り子をはじめ旅芸人一行との触れ合いを通して、青年は悩みであった自分の歪んだ根性を克服できると感じました。

一人ぼっちでの映画

下田に到着して東京に帰る日の前日、青年は踊り子たちを映画に連れて行こうとします。しかし、踊り子だけしか都合がつかなくなり、2人の仲を怪しんだ母親はそれに猛反対しました。

そのため青年は一人で映画に行くことにしますが、すぐに帰って来てしまい、暗い夜の町をいつまでも眺めるのでした。

遠くから踊り子たちの太鼓の音が微かに聞こえるようで、涙がぽたぽたと流れるのです。

澄んだ心を取り戻す

東京に帰る日の朝、踊り子の兄だけが青年を乗船場まで送りに来ました。しかし、海際に近づくと踊り子が待っていたのです。

踊り子にいろいろ話しかけてみましたが彼女は何も話しません。そのまま何も言えないでいる踊り子、そして青年が船に乗り込み2人は言葉を交わさないまま別れます。

帰りの船では、隣り合った少年の親切も素直に受け入れられるようになっていました。

涙を止めようとすることもなく、ぽろぽろと流れた後には何も残らないような甘い快さがあるばかりでした。

感想

伊豆の踊子は、川端康成が実際に体験したことを元に書かれた小説であり、何度も映画やドラマになるほどの名作です。

東京から伊豆を繋ぐ列車に「踊り子号」があります。もちろんこの小説にちなんで付けられた名前であり、それだけ世間に認知されていた作品だと言えるでしょう。

小説が列車の名前になり、舞台となった伊豆へ人々を運んでいるなんて、とてもロマンチックですね。

癒されていく心

青年は14歳の少女に淡い恋心を感じます。しかし男女の関係という生々しいものでもなく、ただ少女との触れ合いの中で自分の気持ちを癒していくのです。

だから本当のところ、恋というものとは違うのかもしれません。

世間と自分との間には越えられない壁があり、それを自分で克服することも出来ないで鬱々としている青年は、純粋な少女と過ごすうちに気持ちが素直になっていくのです。

心が荒んでしまうと、誰の言葉も皮肉に聞こえる時ってありますよね。そんな状態の主人公が癒されていく過程を綴っています。

美しい恋物語としても素敵ですが、人がどんな風に癒されていくのかということもよく分かる小説だと思います。

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