女生徒のあらすじ「思春期の少女が日常に思うこと」

      2017/05/14   文学

空を見上げる少女の影
昭和14年に発表された「女生徒」は、太宰治の短編小説です。思春期の少女の心理を繊細な表現で描いたこの作品は、太宰治の代表作のひとつとなりました。

それでは川端康成からも絶賛された「女生徒」のあらすじを簡単にご紹介します。

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太宰治「女生徒」あらすじ

物語は、14歳の多感な女生徒があらゆる感情に葛藤する様子を綴っています。

経験を通して考える少女

主人公の少女が、朝目を覚ますところから始まります。起きてから朝食を食べて学校へ行き、家に帰って夜寝るまでの一日の流れに沿って描かれていきます。

その中で彼女は様々なことを考えるのでした。

犬を可愛がり、電車で通学し、学校生活を送ったりする中で、妄想をしたり我に返ったりしながら一日を過ごしていきました。

そしてそれらの経験を通して、もっと清く美しく生きて行きたいと思うのでした。

朝の不思議な気持ち

朝になると彼女は、悲しみが胸に浮かんでいろいろな醜い後悔ばかりしてしまいます。何重にもなった箱を開けていって、最後の箱には結局何も入っていなかった時のような気持ちでいました。

彼女にとっての朝は空っぽであり、悲観的な考えがいつも胸を塞ぎました。

そして、ふと亡くなった父親や別れた人たちのことをいやに身近に思い出すのでした。

少女の中の葛藤

家に帰るとお客さんが来ており、母が甲高い声で笑っているのが聞こえました。面白くもないのに笑ったり、相手のご機嫌をとる母に対して嫌な気持ちになります。

また、お客さんである今井田夫妻のしつこいお世辞にも苛々してしまうのでした。

食事の片付けをしながら、人との付き合いは嫌でも我慢してするのが良いのか、たとえ人に悪く言われても自分を見失わないのが良いのかと考えますが、答えは出ませんでした。

その後、今井田さんは用事があると言って母を連れて出かけて行きました。そんな彼らの厚かましさが嫌で、少女は泣いてしまいそうになるのです。

幸福は一夜遅れてくる

しばらくして、母が帰ってきました。久しぶりの母と二人の夜に、嬉しくなって自然と笑ってしまいます。

母の肩を揉んでいると、母の疲れが自分にも伝わってくるようで、父がいなくなってからの苦労を思い、少しでも母を恨んでしまったことを恥ずかしく思いました。

家事を一通り済ませた後、床に入った母と話をしながら、明日と幸福について考えるのでした。

感想

この作品の驚くべきポイントは、30歳前後の男が14歳の少女の繊細でいびつな心理を描ききっているところだと思います。

太宰治の分筆力

少女の独白形式で物語は進行していきますので、当然幼い女の子らしい言葉や言い回しが出てくるのです。このように見事に表現している太宰治の分筆力は、単純に凄いとしか言いようがありません。

多感な時代ならではの不満や幸福、それぞれの感情が入れ替わりに少女の気持ちを支配します。そんな日常の風景を描いた小説を読むことで、こんな風に思っていた時代も自分にはあったなと、懐かしく感じるでしょう。

そしてそんな懐かしい感情を思い出させる太宰治は、素晴らしい作家だと言えますね。

少女の気持ちを理解する大人

どこかのレビューであったのですが、父親が中学生の娘の気持ちを理解するためにこの本を読んで、なんとなく分かった気がすると書かれていたのを目にして、なるほど、そんな風にこの作品を活用する方法があったのだと思いました。

大人の女性が読むと懐かしい気持ちになりますが、大人の男性が読むことで娘の気持ちを理解できるのかもしれませんね。

もし多感な少女の気持ちを理解したいと思っている親御さんがいたら、ぜひ「女生徒」を読んでみて下さい。何かのきっかけが掴めるかもしれません。

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